アメリカ南東部の旅(3) チャールストン -前編-
2009年 05月 01日
2週に渡ってお送りしてきましたアメリカ南東部の旅、
最後にご紹介するのは、サウスカロライナ州・チャールストン。
1994年に訪米された天皇皇后両陛下が、長年の憧れの地として
訪問をリクエストされたという南部の「ロマンティック・シティ」です。
前回ご紹介したサバンナにも似たこぎれいな街並みと、
街全体を包む優雅な雰囲気が印象的で、少し身近なところでは、
村上春樹氏の短編「チャールストンの幽霊」でもその様子が描かれています。
ベストシーズンは、チャールストンの華やかさが際立ち、
それでいて暑すぎない春または秋。
今回訪れた冬のチャールストンは、あいにく「曇り時々雨」といった空模様でしたが、
つややかな街の様子が少しでも伝わればと思います。
それでは、どうぞ!
* * * * * *
サバンナから再びアムトラックに揺られて、
ノースチャールストンにある鉄道駅に到着したのは、深夜12時。
前回の移動では時間ぴったりに姿を現したアムトラックでしたが、
今回は2時間以上遅れ、予定が大幅に狂ってしまいました。
深夜にチャールストンで降りる乗客はまばらで、
駅前に待機しているタクシーは1台だけ。
さっそく乗り込んでダウンタウンへと向かう車中、
ドライバーが「チャールストンは全米で3本の指に入る観光地だ」
と自慢げに教えてくれました。
アメリカの観光地として、日本ではそれほど知名度が高いとは言えない
チャールストンですが、米国内では不変の人気を誇っています。
この街は、かつてプランテーションで栄え、国内のみならず
ヨーロッパ諸国からも「南部で最も輝かしい街」と讃えられました。
最盛期にはボストンをも凌いだというチャールストンの優雅な街並みは、
往時の面影を今でも随所に残していて、アメリカ人にとって
チャールストンで古い建物や街並みを見ることは、
日本人が京都や奈良を訪れるのと、感覚的に近いものがあるようです。
ちなみに、先ほどのタクシードライバーは、
「ノースチャールストンは全米で3本の指に入るひどい街だけどね」
とオチをつけ、ひとり豪快に笑っていました。
さて、チャールストンには、大きく分けて3つの見どころがあります。
1つは、ダウンタウンの歴史地区の街並み、
2つ目は、郊外に点在するプランテーション、
そして、3つ目は、沖合いに浮かぶサムター要塞(Fort Sumter)です。
今回は、日程的にすべてを見てまわることができなかったため、
上記のうち、ダウンタウンと、プランテーションに行き先を絞りました。
ちなみに、サムター要塞は、南北戦争の発火点ともなった歴史的遺構で、
歴史好きの方は必見のスポットです。
それでは、チャールストン近郊の代表的なプランテーションをご紹介していきます。
まず最初に訪れたのは、いかにも南部の大農園といった趣きの
ブーン・ホール・プランテーション(Boone Hall Plantation)。
こちらのプランテーションは、チャールストンからクーパーリバー(Cooper River)を
渡った先にあるマウント・プレザント(Mount Pleasant)という街にあります。
ここでは、入口から邸宅へと続くオークツリーの並木道が圧巻で、
この景色を見るだけでも訪れる価値があると思えるほどです。
しかし、この並木道の傍らには、当時の奴隷小屋が建ち並び、
プランテーションによる富と繁栄も、黒人奴隷たちの犠牲の下に
作り出されたものであるという事実と向き合わなければなりません。
一方で、そんな暗い過去に反して、プランテーション内の景色は穏やかです。
邸宅の裏手には、デモンストレーション用の綿花畑が設けられ、広大な土地一面に
綿花が広がっていたであろう当時の光景に、一瞬、思いを馳せることができます。
さて、次なるプランテーションへ向かう前に、
地元の人に人気のビーチが近くにあるというので少々寄り道を。
それが、マウント・プレザントから大西洋へと少し車を走らせたところに位置する
パーム島(Isle of Palms)のビーチです。
ビーチ沿いには、コンドミニアムが建ち、パームツリーがきれいに並び、
華やかなリゾートの趣きが漂いますが、太陽がすっかり隠れてしまった
冬の海のなんと寒々しいこと・・・(笑)
しかし、ビーチ全体に広がる白砂の美しさには目を見張るものがあり、
夏場にぜひまた来てみたいと思わせるスポットでした。
では、本題に戻り、次なる目的地、
マグノリア・プランテーション(Magnolia Plantation)を目指します。
このプランテーションは、チャールストンのダウンタウンから見て、
ブーンホールとは逆方向のウェストアシュレイ(West Ashley)にあり、
ブーンホールからは、クーパーリバーを渡ってチャールストンに戻り、
今度はアシュレイリバーを渡ってウェストアシュレイへと、
少々面倒な移動を余儀なくされます。
マグノリア・プランテーションの近郊には、ほかにもドレイトン・ホール(Drayton Hall)や、
ミドルトン・プレイス(Middleton Place)といったプランテーションがありますので、
いくつかのプランテーションを廻りたいという方は
ウェストアシュレイ方面へ行かれるのがオススメです。
1ヶ所でいいので、これぞプランテーション、という景色を見たいなら、
ブーン・ホール・プランテーション、といったところでしょうか。
さて、そんな移動を経て訪れたマグノリア・プランテーションですが、
こちらは瀟洒なお屋敷と南部らしい佇まいの庭園が見事。
あいにくの天気ではありましたが、池が多く配された庭園に
しとしとと小雨が落ちる様子も趣きがあります。
また、春になると、邸宅のまわりや庭園には多くの花が咲き誇り、
この上品なプランテーションをいっそう優雅に見せてくれます。
そして、ここマグノリア・プランテーションに来たからには、
隣接するスワンプ(Audubon Swamp)も見逃せません。
スワンプとは、英語で沼地や湿地のことですが、
この地域に特有の湿地帯が自然のまま残り、
ワニ(Alligator)をはじめ、多くの野生生物を目にすることができます。
スワンプは、このプランテーションのハイライトの1つですが、
なんと、、、今回はほかの場所を見るのに時間がかかりすぎ、
また、少し離れたスワンプの場所を探すのに手間取り、
閉園の時間になってしまいました・・・!
チャールストンに再訪する理由がまたひとつできた、と
無理やり自分を納得させ、泣く泣くこの日は帰路につきました。
翌日は、気を取り直して、夕方にチャールストンを発つフライトまでの時間を利用し、
ダウンタウンの歴史地区を散策して過ごしました。
その様子はまた次週に。
* * * * * *
来週は、いよいよチャールストンの後編、
歴史地区の美しい街並みと、オススメのホテル、
さらに気になるレストランをご紹介します。
最後にご紹介するのは、サウスカロライナ州・チャールストン。
1994年に訪米された天皇皇后両陛下が、長年の憧れの地として
訪問をリクエストされたという南部の「ロマンティック・シティ」です。
前回ご紹介したサバンナにも似たこぎれいな街並みと、
街全体を包む優雅な雰囲気が印象的で、少し身近なところでは、
村上春樹氏の短編「チャールストンの幽霊」でもその様子が描かれています。
ベストシーズンは、チャールストンの華やかさが際立ち、
それでいて暑すぎない春または秋。
今回訪れた冬のチャールストンは、あいにく「曇り時々雨」といった空模様でしたが、
つややかな街の様子が少しでも伝わればと思います。
それでは、どうぞ!
* * * * * *
サバンナから再びアムトラックに揺られて、
ノースチャールストンにある鉄道駅に到着したのは、深夜12時。
前回の移動では時間ぴったりに姿を現したアムトラックでしたが、
今回は2時間以上遅れ、予定が大幅に狂ってしまいました。
深夜にチャールストンで降りる乗客はまばらで、
駅前に待機しているタクシーは1台だけ。
さっそく乗り込んでダウンタウンへと向かう車中、
ドライバーが「チャールストンは全米で3本の指に入る観光地だ」
と自慢げに教えてくれました。
アメリカの観光地として、日本ではそれほど知名度が高いとは言えない
チャールストンですが、米国内では不変の人気を誇っています。
この街は、かつてプランテーションで栄え、国内のみならず
ヨーロッパ諸国からも「南部で最も輝かしい街」と讃えられました。
最盛期にはボストンをも凌いだというチャールストンの優雅な街並みは、
往時の面影を今でも随所に残していて、アメリカ人にとって
チャールストンで古い建物や街並みを見ることは、
日本人が京都や奈良を訪れるのと、感覚的に近いものがあるようです。
ちなみに、先ほどのタクシードライバーは、
「ノースチャールストンは全米で3本の指に入るひどい街だけどね」
とオチをつけ、ひとり豪快に笑っていました。
さて、チャールストンには、大きく分けて3つの見どころがあります。
1つは、ダウンタウンの歴史地区の街並み、
2つ目は、郊外に点在するプランテーション、
そして、3つ目は、沖合いに浮かぶサムター要塞(Fort Sumter)です。
今回は、日程的にすべてを見てまわることができなかったため、
上記のうち、ダウンタウンと、プランテーションに行き先を絞りました。
ちなみに、サムター要塞は、南北戦争の発火点ともなった歴史的遺構で、
歴史好きの方は必見のスポットです。
それでは、チャールストン近郊の代表的なプランテーションをご紹介していきます。
まず最初に訪れたのは、いかにも南部の大農園といった趣きの
ブーン・ホール・プランテーション(Boone Hall Plantation)。
こちらのプランテーションは、チャールストンからクーパーリバー(Cooper River)を
渡った先にあるマウント・プレザント(Mount Pleasant)という街にあります。
ここでは、入口から邸宅へと続くオークツリーの並木道が圧巻で、
この景色を見るだけでも訪れる価値があると思えるほどです。
しかし、この並木道の傍らには、当時の奴隷小屋が建ち並び、
プランテーションによる富と繁栄も、黒人奴隷たちの犠牲の下に
作り出されたものであるという事実と向き合わなければなりません。
一方で、そんな暗い過去に反して、プランテーション内の景色は穏やかです。
邸宅の裏手には、デモンストレーション用の綿花畑が設けられ、広大な土地一面に
綿花が広がっていたであろう当時の光景に、一瞬、思いを馳せることができます。
さて、次なるプランテーションへ向かう前に、
地元の人に人気のビーチが近くにあるというので少々寄り道を。
それが、マウント・プレザントから大西洋へと少し車を走らせたところに位置する
パーム島(Isle of Palms)のビーチです。
ビーチ沿いには、コンドミニアムが建ち、パームツリーがきれいに並び、
華やかなリゾートの趣きが漂いますが、太陽がすっかり隠れてしまった
冬の海のなんと寒々しいこと・・・(笑)
しかし、ビーチ全体に広がる白砂の美しさには目を見張るものがあり、
夏場にぜひまた来てみたいと思わせるスポットでした。
では、本題に戻り、次なる目的地、
マグノリア・プランテーション(Magnolia Plantation)を目指します。
このプランテーションは、チャールストンのダウンタウンから見て、
ブーンホールとは逆方向のウェストアシュレイ(West Ashley)にあり、
ブーンホールからは、クーパーリバーを渡ってチャールストンに戻り、
今度はアシュレイリバーを渡ってウェストアシュレイへと、
少々面倒な移動を余儀なくされます。
マグノリア・プランテーションの近郊には、ほかにもドレイトン・ホール(Drayton Hall)や、
ミドルトン・プレイス(Middleton Place)といったプランテーションがありますので、
いくつかのプランテーションを廻りたいという方は
ウェストアシュレイ方面へ行かれるのがオススメです。
1ヶ所でいいので、これぞプランテーション、という景色を見たいなら、
ブーン・ホール・プランテーション、といったところでしょうか。
さて、そんな移動を経て訪れたマグノリア・プランテーションですが、
こちらは瀟洒なお屋敷と南部らしい佇まいの庭園が見事。
あいにくの天気ではありましたが、池が多く配された庭園に
しとしとと小雨が落ちる様子も趣きがあります。
また、春になると、邸宅のまわりや庭園には多くの花が咲き誇り、
この上品なプランテーションをいっそう優雅に見せてくれます。
そして、ここマグノリア・プランテーションに来たからには、
隣接するスワンプ(Audubon Swamp)も見逃せません。
スワンプとは、英語で沼地や湿地のことですが、
この地域に特有の湿地帯が自然のまま残り、
ワニ(Alligator)をはじめ、多くの野生生物を目にすることができます。
スワンプは、このプランテーションのハイライトの1つですが、
なんと、、、今回はほかの場所を見るのに時間がかかりすぎ、
また、少し離れたスワンプの場所を探すのに手間取り、
閉園の時間になってしまいました・・・!
チャールストンに再訪する理由がまたひとつできた、と
無理やり自分を納得させ、泣く泣くこの日は帰路につきました。
翌日は、気を取り直して、夕方にチャールストンを発つフライトまでの時間を利用し、
ダウンタウンの歴史地区を散策して過ごしました。
その様子はまた次週に。
* * * * * *
来週は、いよいよチャールストンの後編、
歴史地区の美しい街並みと、オススメのホテル、
さらに気になるレストランをご紹介します。
by W_A_S | 2009-05-01 16:41 | 海外旅行