バルト三国旅行記(1) ~ ヴィリニュス (リトアニア) ~
2009年 08月 30日
8月も残すところあと1日、夏も終わりに近づきつつあるといった雰囲気ですが、
今回の旅行記は、初夏に訪れたというヨーロッパ、バルト三国の様子をお届けします。
ところで、バルト三国、、、言えますか・・・?
2つまでは思い出したけど、もう1つがどうしても出てこない、、、
という方も多いかもしれませんね(笑)
正解は、リトアニア、ラトビア、エストニアです。
「バルト三国」という名称で呼ばれるために、ひと括りにされてしまいがちな国々ですが、
じつは国ごとに民族や言語・文化が異なり、それぞれ独自の魅力を持っています。
3ヶ国それぞれの魅力をお伝えするべく、
今回の旅行記は、何週かに分けてお届けさせていただきます。
3ヶ国すべて言えた方も、どこにあるのかもちょっと、、、という方も
これを読めば、「へぇー、バルト三国ってこういうところなんだ」とわかっていただけるはずです!
まず第1回目の今回は、リトアニアの首都・ヴィリニュスのご紹介です。
それでは、どうぞ!
* * * * * * * * * *
ヴィリニュスを訪れたのは6月の下旬、ちょうど夏至の前後。
この時期のバルト三国は陽が長く、ちょっとオトクな気分です。
今回利用した航空会社は、フィンランド航空(フィンエアー)。
バルト三国へ行くにはいちばん便利な航空会社です。
フィンランドは、ヨーロッパの中でも北東の端っこに位置していますから、
一見なんだか遠そうなイメージですが、地球儀で日本からヨーロッパへ直線を引いてみると、
じつはいちばん手前に来るのがこの国。
つまり、フィンエアーが拠点を置くヘルシンキのヴァンター空港が、
日本から見るとヨーロッパの空の玄関にあたるんですね。
ヴァンター空港は乗継に便利な空港で、乗継エリア内には、
日本でも人気のファッション・インテリアブランドのマリメッコや、
ムーミングッズを扱うショップなどが並んでいます。
[マリメッコ]
[ムーミンショップ]
梅雨空の日本から一転、ヘルシンキは青くて広い空が広がっていました。
ここで小さな飛行機に乗り換え、ヴィリニュスへと向かいます。
1時間ほどのフライトで、ヴィリニュスに到着したのは夕方5時半。
さっそく空港でユーロをリトアニアの通貨・リタス(1リタス=約40円)に両替し、
市内の中心部を目指します。
空港からはバスやタクシーも利用できますが、今回は最近できたという鉄道で。
空港を出てまっすぐ歩いていると、橋の下に線路が一本。
そこで顔を左に向けると、線路へ降りるガラス張りのエレベータと
あっさりとしたプラットフォームが目に入りました。
駅は無人で、切符は車内の車掌さんから買うシステムです。
まだ新しい電車はすぅっと滑らかに動き出し、しばし車窓を眺めていると
あっという間にヴィリニュス中央駅に到着しました。
荷物もあるのでホテルへはタクシーを利用したいところでしたが、なんとなく不安で、
結局、現地の人に混じって、ちょっと混雑したトロリーバスのお世話になりました。
[駅前のバスターミナル] ※写真はトロリーではなく、通常の路線バス
新市街のメインストリート、ゲディミノ大通りでバスを降り、
そこから歩いてホテルに無事到着することができました。
さて、それではヴィリニュスの観光スポットをご紹介していきたいと思います。
中世のたたずまいを残した旧市街「ヴィリニュス歴史地区」は、
ユネスコの世界遺産に登録されています。
じつはバルト三国の首都は、ヴィリニュスだけでなく、
ラトビアのリーガ、エストニアのタリンと、そのすべてが世界遺産です。
リーガやタリンと違って、内陸部にひらけた街であるヴィリニュスは、
緑が多く、街全体がやわらかい印象です。
ヴィリニュスを語る上で、まず欠かすことのできない存在が、
旧市街の北の端に位置する大聖堂(アルキカテドゥラ)です。
ここはゲディミノ大通りの起点となっており、滞在したホテルからも近かったため、
まずはここから街歩きをスタートすることにしました。
この大きく立派な建物の正面や側面には、たくさんの彫刻が彫られ、
入口正面の屋根にはソ連時代には撤去されていたという三聖人の像が街を見守っています。
また、傍らに建つ鐘楼はかつては城壁の塔だったそうで、
今はない城壁は、色の違う敷石によってその跡がわかるようになっています。
天井が高く、広々とした大聖堂内部の見どころとしては、
天窓から光が差し込み、神聖な雰囲気がただよう聖カジミエルの礼拝所があります。
また、絶世の美女と言われたバルボラ・ラドヴィライテ妃などの棺が安置された
地下(ポジェミス)もぜひ見てみたいスポットですが、こちらは原則、個人での見学ができず、
ツアー客のみが対象のため、受付でお願いして、ツアーに混ぜてもらうことにしました。
ただし、当日はツアーの予定が入っていなかったため、翌日のフランス人のツアーに混ざり、
フランス語の説明は理解できませんでしたが、独特の雰囲気は感じることができました。
[バルボラ・ラドヴィライテ妃の棺]
大聖堂を後にし、裏手の丘を登ると、かつてこの場所にあったゲディミナス城の
城壁の塔であるゲディミナス塔が建っています。
塔の上からは緑豊かなヴィリニュスの街が一望できます。
塔の高みから街のあらましを把握したら、旧市街のさらに内部へと歩を進めてみましょう。
ゲディミナス塔の丘を下ると、一国の首都である都会に、山あいの清流を思わせる
ヴィリニャ川が流れていて、とても気持ちのいい散歩コースになっています。
そんなヴィリニャ川に沿って歩いていると、ゴシック建築の傑作と言われる
聖アンナ(オノス)教会の脇に出ました。
33種類もの異なる形のレンガを使って建てられたというこの教会には、
フランスの英雄・ナポレオンをして「フランスに持ち帰りたい」と言わしめたという
エピソードが残っています。
[聖アンナ教会(左)とベルナルディン教会(右奥)]
そのすぐ隣に位置するベルナルディン教会は、美しいフレスコ画で有名ですが、
すでに色あせてしまったフレスコ画は現在修復中とのことです。
さて、ここから旧市街の中心へと少し上っていくと、
旧市街を南北に貫くメインストリート、ピリエス通りに出ます。
ピリエス通りを歩いていると、旧市街でもっとも高いという聖ヨハネ(ヨノ)教会の
鐘楼が見えたので、ヴィリニュス大学の中庭から聖ヨハネ教会を眺めることにしました。
すると、そこは多くの学生やその父兄の方々でごった返していました。
ちょうど聖ヨハネ教会の祭壇でヴィリニュス大学の学位授与式が行われ、
中庭で記念撮影などをしているところに出くわしたようです。
普段は厳かな雰囲気が漂っているであろう教会の内部も
この日ばかりは華やかな雰囲気に包まれていました。
ちなみに、ヴィリニュス大学も見どころの多いスポットです。
豪華な内装がみごとな古書室へは、日程の都合で入れませんでしたが、
言語学部2階のちょっとシュールなフレスコ画「四季」は見学することができました。
大学を出て、ピリエス通りを大聖堂(アルキカテドゥラ)を背にして南へ進むと、
通りはディジョイ通りと名前を変え、広々とした市庁舎広場に出ます。
さらに南へと歩を進めると、通りはさらに夜明けの門通りと名を変え、
旧市街の南端、かつての城門のうち唯一残された夜明けの門に辿り着きます。
ヴィリニュスは教会の多い街で、旧市街の至るところに教会がありますが、
市庁舎広場から夜明けの門に至るこの界隈にも、聖カジミエル教会や、
聖テレサ教会といった美しい教会が点在しています。
[ミサの最中の聖カジミエル教会]
[ピンク色の内装が美しい聖テレサ教会]
また、夜明けの門の2階部分は聖母のイコンを祀った礼拝所になっていて、
そこでは熱心に祈りを捧げる信者の姿を目の当たりにすることになります。
さて、夜明けの門をくぐると、旧市街を北から南へ縦断したことになります。
夜明けの門の周辺は、現在わずかに残る城壁が見られる地域です。
その城壁に沿って、今度はふたたび北へと戻ってみることにしました。
しばらく行くと、円形城塞と呼ばれる遺跡があり、この付近の丘からは、
下を流れるヴィリニャ川や、その背後にそびえる3つの十字架の丘が望め、
地元の若者たちには、お気に入りの癒しの場所になっているようでした。
城壁の名残を残したボクシュト通りを過ぎ、ヴィリニャ川へと下ると、
川を渡ったその先にウジュピスと呼ばれる地域があります。
ウジュピスは、大きく蛇行したヴィリニャ川によって旧市街から
切り取られたような地形をしていて、長らく街の発展から取り残されていましたが、
近年アーティストや若者が多く住むようになり、注目のスポットへと変わりつつあります。
[ウジュピスのシンボル・天使の像]
また、ウジュピスは、芸術共和国の独立宣言を行い、
独立記念日である毎年4月1日には入り口となるウジュピオ橋に検問所も現れるのだとか。
この地域では、さまざまなアート作品を見ることができ、カフェも多いので、
散策にちょうどいいエリアとなっています。
[ウジュピス共和国の国旗(?)]
ウジュピスをヴィリニャ川に沿ってさらに北へと戻ると、
ヴィリニャ川を挟んでゲディミナス塔のちょうど反対側に、
3本の十字架が建つ小高い丘があります。
登るのは少しばかりきついですが、丘を登りきると、眼下には
街歩きの序盤に登ったゲディミナス塔や、ヴィリニュスの街をゆったりと流れるネリス川、
さらに遠景には、街の中心から5キロほど離れたテレビ塔まで一望できます。
・・・と、以上で、ヴィリニュスの見どころをご紹介してきましたが、
最後にもうひとつ、旧市街からは少し離れていますが、必見の教会を。
それは、聖ペテロ&パウロ(ペテロ・イル・ポヴィロ)教会で、
何がすごいかと言うとその教会内部の彫刻群です。
側面や天井を覆う2000以上とも言われる漆喰彫刻は、ひとつとして同じものがなく、
そのスケールにただただ立ちつくしてしまいます。
いつまでいても見飽きることのない彫刻群に出会えるこの教会は、
バロックの街・ヴィリニュスに来たらぜひ訪れていただきたいスポットです。
さて、、、ちょっと長くなってしまいましたが、今回はここまでです。
最後までお読みいただいた皆さま、ありがとうございました。
次回はヴィリニュス周辺の見どころや、リトアニア料理などをご紹介する予定です。
* * * * * * * * * *
多くの緑と清らかな水の流れ、バロック様式の建物に彩られた中世の街、
ヴィリニュスの旅行記はいかがでしたでしょうか。
世界遺産に指定されている旧市街だけでも見どころの多いこの街ですが、
じつは郊外にも世界遺産があるそうです。
世界遺産の丘で年に一度開かれるお祭りと、
ちょっと変わったリトアニア料理などが登場する続編もどうぞお楽しみに♪
今回の旅行記は、初夏に訪れたというヨーロッパ、バルト三国の様子をお届けします。
ところで、バルト三国、、、言えますか・・・?
2つまでは思い出したけど、もう1つがどうしても出てこない、、、
という方も多いかもしれませんね(笑)
正解は、リトアニア、ラトビア、エストニアです。
「バルト三国」という名称で呼ばれるために、ひと括りにされてしまいがちな国々ですが、
じつは国ごとに民族や言語・文化が異なり、それぞれ独自の魅力を持っています。
3ヶ国それぞれの魅力をお伝えするべく、
今回の旅行記は、何週かに分けてお届けさせていただきます。
3ヶ国すべて言えた方も、どこにあるのかもちょっと、、、という方も
これを読めば、「へぇー、バルト三国ってこういうところなんだ」とわかっていただけるはずです!
まず第1回目の今回は、リトアニアの首都・ヴィリニュスのご紹介です。
それでは、どうぞ!
* * * * * * * * * *
ヴィリニュスを訪れたのは6月の下旬、ちょうど夏至の前後。
この時期のバルト三国は陽が長く、ちょっとオトクな気分です。
今回利用した航空会社は、フィンランド航空(フィンエアー)。
バルト三国へ行くにはいちばん便利な航空会社です。
フィンランドは、ヨーロッパの中でも北東の端っこに位置していますから、
一見なんだか遠そうなイメージですが、地球儀で日本からヨーロッパへ直線を引いてみると、
じつはいちばん手前に来るのがこの国。
つまり、フィンエアーが拠点を置くヘルシンキのヴァンター空港が、
日本から見るとヨーロッパの空の玄関にあたるんですね。
ヴァンター空港は乗継に便利な空港で、乗継エリア内には、
日本でも人気のファッション・インテリアブランドのマリメッコや、
ムーミングッズを扱うショップなどが並んでいます。
[マリメッコ]
[ムーミンショップ]
梅雨空の日本から一転、ヘルシンキは青くて広い空が広がっていました。
ここで小さな飛行機に乗り換え、ヴィリニュスへと向かいます。
1時間ほどのフライトで、ヴィリニュスに到着したのは夕方5時半。
さっそく空港でユーロをリトアニアの通貨・リタス(1リタス=約40円)に両替し、
市内の中心部を目指します。
空港からはバスやタクシーも利用できますが、今回は最近できたという鉄道で。
空港を出てまっすぐ歩いていると、橋の下に線路が一本。
そこで顔を左に向けると、線路へ降りるガラス張りのエレベータと
あっさりとしたプラットフォームが目に入りました。
駅は無人で、切符は車内の車掌さんから買うシステムです。
まだ新しい電車はすぅっと滑らかに動き出し、しばし車窓を眺めていると
あっという間にヴィリニュス中央駅に到着しました。
荷物もあるのでホテルへはタクシーを利用したいところでしたが、なんとなく不安で、
結局、現地の人に混じって、ちょっと混雑したトロリーバスのお世話になりました。
[駅前のバスターミナル] ※写真はトロリーではなく、通常の路線バス
新市街のメインストリート、ゲディミノ大通りでバスを降り、
そこから歩いてホテルに無事到着することができました。
さて、それではヴィリニュスの観光スポットをご紹介していきたいと思います。
中世のたたずまいを残した旧市街「ヴィリニュス歴史地区」は、
ユネスコの世界遺産に登録されています。
じつはバルト三国の首都は、ヴィリニュスだけでなく、
ラトビアのリーガ、エストニアのタリンと、そのすべてが世界遺産です。
リーガやタリンと違って、内陸部にひらけた街であるヴィリニュスは、
緑が多く、街全体がやわらかい印象です。
ヴィリニュスを語る上で、まず欠かすことのできない存在が、
旧市街の北の端に位置する大聖堂(アルキカテドゥラ)です。
ここはゲディミノ大通りの起点となっており、滞在したホテルからも近かったため、
まずはここから街歩きをスタートすることにしました。
この大きく立派な建物の正面や側面には、たくさんの彫刻が彫られ、
入口正面の屋根にはソ連時代には撤去されていたという三聖人の像が街を見守っています。
また、傍らに建つ鐘楼はかつては城壁の塔だったそうで、
今はない城壁は、色の違う敷石によってその跡がわかるようになっています。
天井が高く、広々とした大聖堂内部の見どころとしては、
天窓から光が差し込み、神聖な雰囲気がただよう聖カジミエルの礼拝所があります。
また、絶世の美女と言われたバルボラ・ラドヴィライテ妃などの棺が安置された
地下(ポジェミス)もぜひ見てみたいスポットですが、こちらは原則、個人での見学ができず、
ツアー客のみが対象のため、受付でお願いして、ツアーに混ぜてもらうことにしました。
ただし、当日はツアーの予定が入っていなかったため、翌日のフランス人のツアーに混ざり、
フランス語の説明は理解できませんでしたが、独特の雰囲気は感じることができました。
[バルボラ・ラドヴィライテ妃の棺]
大聖堂を後にし、裏手の丘を登ると、かつてこの場所にあったゲディミナス城の
城壁の塔であるゲディミナス塔が建っています。
塔の上からは緑豊かなヴィリニュスの街が一望できます。
塔の高みから街のあらましを把握したら、旧市街のさらに内部へと歩を進めてみましょう。
ゲディミナス塔の丘を下ると、一国の首都である都会に、山あいの清流を思わせる
ヴィリニャ川が流れていて、とても気持ちのいい散歩コースになっています。
そんなヴィリニャ川に沿って歩いていると、ゴシック建築の傑作と言われる
聖アンナ(オノス)教会の脇に出ました。
33種類もの異なる形のレンガを使って建てられたというこの教会には、
フランスの英雄・ナポレオンをして「フランスに持ち帰りたい」と言わしめたという
エピソードが残っています。
[聖アンナ教会(左)とベルナルディン教会(右奥)]
そのすぐ隣に位置するベルナルディン教会は、美しいフレスコ画で有名ですが、
すでに色あせてしまったフレスコ画は現在修復中とのことです。
さて、ここから旧市街の中心へと少し上っていくと、
旧市街を南北に貫くメインストリート、ピリエス通りに出ます。
ピリエス通りを歩いていると、旧市街でもっとも高いという聖ヨハネ(ヨノ)教会の
鐘楼が見えたので、ヴィリニュス大学の中庭から聖ヨハネ教会を眺めることにしました。
すると、そこは多くの学生やその父兄の方々でごった返していました。
ちょうど聖ヨハネ教会の祭壇でヴィリニュス大学の学位授与式が行われ、
中庭で記念撮影などをしているところに出くわしたようです。
普段は厳かな雰囲気が漂っているであろう教会の内部も
この日ばかりは華やかな雰囲気に包まれていました。
ちなみに、ヴィリニュス大学も見どころの多いスポットです。
豪華な内装がみごとな古書室へは、日程の都合で入れませんでしたが、
言語学部2階のちょっとシュールなフレスコ画「四季」は見学することができました。
大学を出て、ピリエス通りを大聖堂(アルキカテドゥラ)を背にして南へ進むと、
通りはディジョイ通りと名前を変え、広々とした市庁舎広場に出ます。
さらに南へと歩を進めると、通りはさらに夜明けの門通りと名を変え、
旧市街の南端、かつての城門のうち唯一残された夜明けの門に辿り着きます。
ヴィリニュスは教会の多い街で、旧市街の至るところに教会がありますが、
市庁舎広場から夜明けの門に至るこの界隈にも、聖カジミエル教会や、
聖テレサ教会といった美しい教会が点在しています。
[ミサの最中の聖カジミエル教会]
[ピンク色の内装が美しい聖テレサ教会]
また、夜明けの門の2階部分は聖母のイコンを祀った礼拝所になっていて、
そこでは熱心に祈りを捧げる信者の姿を目の当たりにすることになります。
さて、夜明けの門をくぐると、旧市街を北から南へ縦断したことになります。
夜明けの門の周辺は、現在わずかに残る城壁が見られる地域です。
その城壁に沿って、今度はふたたび北へと戻ってみることにしました。
しばらく行くと、円形城塞と呼ばれる遺跡があり、この付近の丘からは、
下を流れるヴィリニャ川や、その背後にそびえる3つの十字架の丘が望め、
地元の若者たちには、お気に入りの癒しの場所になっているようでした。
城壁の名残を残したボクシュト通りを過ぎ、ヴィリニャ川へと下ると、
川を渡ったその先にウジュピスと呼ばれる地域があります。
ウジュピスは、大きく蛇行したヴィリニャ川によって旧市街から
切り取られたような地形をしていて、長らく街の発展から取り残されていましたが、
近年アーティストや若者が多く住むようになり、注目のスポットへと変わりつつあります。
[ウジュピスのシンボル・天使の像]
また、ウジュピスは、芸術共和国の独立宣言を行い、
独立記念日である毎年4月1日には入り口となるウジュピオ橋に検問所も現れるのだとか。
この地域では、さまざまなアート作品を見ることができ、カフェも多いので、
散策にちょうどいいエリアとなっています。
[ウジュピス共和国の国旗(?)]
ウジュピスをヴィリニャ川に沿ってさらに北へと戻ると、
ヴィリニャ川を挟んでゲディミナス塔のちょうど反対側に、
3本の十字架が建つ小高い丘があります。
登るのは少しばかりきついですが、丘を登りきると、眼下には
街歩きの序盤に登ったゲディミナス塔や、ヴィリニュスの街をゆったりと流れるネリス川、
さらに遠景には、街の中心から5キロほど離れたテレビ塔まで一望できます。
・・・と、以上で、ヴィリニュスの見どころをご紹介してきましたが、
最後にもうひとつ、旧市街からは少し離れていますが、必見の教会を。
それは、聖ペテロ&パウロ(ペテロ・イル・ポヴィロ)教会で、
何がすごいかと言うとその教会内部の彫刻群です。
側面や天井を覆う2000以上とも言われる漆喰彫刻は、ひとつとして同じものがなく、
そのスケールにただただ立ちつくしてしまいます。
いつまでいても見飽きることのない彫刻群に出会えるこの教会は、
バロックの街・ヴィリニュスに来たらぜひ訪れていただきたいスポットです。
さて、、、ちょっと長くなってしまいましたが、今回はここまでです。
最後までお読みいただいた皆さま、ありがとうございました。
次回はヴィリニュス周辺の見どころや、リトアニア料理などをご紹介する予定です。
* * * * * * * * * *
多くの緑と清らかな水の流れ、バロック様式の建物に彩られた中世の街、
ヴィリニュスの旅行記はいかがでしたでしょうか。
世界遺産に指定されている旧市街だけでも見どころの多いこの街ですが、
じつは郊外にも世界遺産があるそうです。
世界遺産の丘で年に一度開かれるお祭りと、
ちょっと変わったリトアニア料理などが登場する続編もどうぞお楽しみに♪
by W_A_S | 2009-08-30 23:25 | 海外旅行